思考をアウトプットし続ける際、障害になるのは「書くこと」以外の細かな作業です。画像を最適な場所に配置し、過去記事のURLを調べてリンクを貼り、Markdownを変換して管理画面に反映させる。こうした摩擦を、エンジニアリングによって取り除くための環境を構築しました。
Blogger、Cloudflare R2、そして AI エージェントを組み合わせて、記事を書いてから公開するまでの流れをどう整えたか、その構成をまとめます。
システムを構成する基盤:自動化の急所
この環境は、既存のブログサービスに自分を合わせるのではなく、自分の執筆フローに道具を合わせるために設計しました。
1. 画像管理の自動同期(Blogger & Cloudflare R2)
基盤には Blogger を選び、画像ストレージには Cloudflare R2 を組み合わせました。エディタ内の images/ ディレクトリにファイルを置き、images.yaml にメモを添えるだけで、公開時に R2 へのアップロードと本文内の URL 置換が行われます。
2. リンクを抽象化する「タイトル辞書」
記事同士の繋がりを管理するために、titles.yaml(タイトル辞書)を集約点として導入しました。過去の記事を参照したい場合、URL をコピーしてくる必要はありません。プロジェクト内の path(例:00B/2512/00001)を記述すれば、システムが辞書を参照し、公開時に Blogger 側の最新 URL と記事タイトルを自動で引き当てます。
3. IDE のダッシュボード化(VS Code 拡張)
エディタの右上に配置した「下書きPush」と「本番公開」ボタンが、すべての自動化スクリプトの入り口です。IDE(エディタ)が実質的なブログの管理画面を兼ねるようになり、内容を反映させたまま下書き状態へ差し戻し、実機プレビューを確認して即座に修正する流れがスムーズになりました。ブラウザの管理画面との往復は不要です。
インターフェースとしての Antigravity
自作したこれらの仕組みを操るための道具として、AI エージェント「Antigravity」を活用しています。
- 図解の即時生成 (Nano Banana Pro): 構成図などが必要な際、その場で生成してディレクトリへ配置できます。そのまま R2 同期のパスへ繋がっているため、画像作成の手間が省けます。
- Gemini 3 Flash のレスポンス: 日本語の収まりの良さと、思考を止めない返答速度が執筆のリズムに合います。
Google が開発しているこのエージェントとの対話を通じて、本システム自体のコード作成や設計変更を行ってきました。エージェントが自ら使い勝手を高めるための実装を提案し、デプロイまでを担う過程を含めて、一つの執筆環境として機能しています。
執筆から公開までの流れ
これらの仕組みを統合することで、執筆から公開までの動きは一本の線に繋がりました。
- 骨子を作る: Markdown で執筆し、過去記事へのリンクはプロジェクト内のパスで記述します。
- 図解を配置: 必要に応じて Nano Banana Pro で図解を生成させます。
- 即時同期: エディタ上のボタンから同期を実行し、プレビューを確認します。
- 本番公開: 内容が固まったら、公開ボタン一つで放流します。
今後の展望:広がっていく応用例
自分に馴染む環境を整えたことで、アウトプットの幅を広げる余地が生まれました。
- トラブル対応の即時記事化: プログラミングで解決した問題を、その場で記事化してストックできるようになります。
- 情報の自動的なアウトプット: 実験データや機械学習の経過を、人手を介さず自動に近い形で公開する仕組みへの拡張も検討しています。
まとめ
道具を自作し、微調整を繰り返すことは、単なる効率化以上の意味を持ちます。周辺作業のストレスから解放され、思考の出力だけに集中できる環境を持つこと。それが、継続的な発信を支える土台になります。
この自分専用のコックピットから、次の思考を加速させていきます。
この連載の記事一覧
- Blogger × Cloudflare:独自ドメイン設定ガイド:独自ドメインから始める
- Blogger APIでMarkdownから下書き投稿する仕組みを整える:Python で自動投稿する
- PythonでBlogger APIを叩くための最小構成ガイド:API 連携と OAuth 認証
- VS Code拡張機能を自作して「Blogger投稿ボタン」をエディタに実装する:投稿用の UI を自分好みに作る
- 記事同士を[[パス]]で繋ぐ。複数記事の管理を自動化する「タイトル辞書」の構築:リンク切れを防ぐ仕組み
- 「画像管理の重力」をCloudflare R2で消し去る。自動アップロードの実装ガイド:画像管理を R2 で自動化する

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