AIで大量の思考を生成し、試行錯誤を繰り返す現代において、アウトプットの「受け皿」をどこに置くかは重要な戦略です。今回は、あえて Blogger を選び、Markdownから直接下書きを生成するパイプラインを構築しました。
なぜ今、Bloggerなのか?
SNSや有料ブログサービスが全盛の中、あえてBloggerを選ぶ理由は、AI時代のアウトプットにおける「最強の適性」と、その圧倒的な信頼性にあります。
実はBloggerは、1999年に誕生した世界最古級のブログサービスです。Googleが買収したのは2003年。これはあのYouTube(2006年買収)よりも以前の出来事です。Googleの歴史そのものと言っても過言ではないこのサービスは、現代において「究極に枯れた、安定したインフラ」として再評価されるべきです。
- 1. 圧倒的な低コスト(ドメイン代のみ): サーバー維持費を気にせず「とりあえず公開」「とりあえず寝かせておく」ができる。失敗を恐れず大量に試行錯誤をアウトプットし続けるための必須条件です。
- 2. 『実印』としてのAPI完備: 歴史が長いゆえにAPIが完全に整備されており、Googleが提供する標準仕様として確立されています。思考ツールやAIエージェントと直結できるため、「エディタを開く」という心理的障壁をゼロにできます。
- 3. Googleのエコシステムとしての安心感: YouTubeよりも早く家族入りし、四半世紀にわたって生き残ってきたサービスには、流行り廃りの激しいモダンなプラットフォームにはない「腰を下ろして書ける強さ」があります。
仕組みの全体像
「書くこと以外すべて自動化する」を目指し、2つのPythonスクリプトによるシンプルなパイプラインを構成しました。
- Markdown to HTML (
md_to_html.py) Markdownファイルを読み込み、Bloggerのテーマに最適化されたHTMLに変換します。 - Blogger Post Draft (
blogger_post_draft.py) Blogger API (v3) を介して、生成物を一瞬で下書きとして送り込みます。
本運用のこだわり
プレビュー環境としてのBlogger UI
ローカルにプレビューサーバーを立てる必要はありません。APIで下書きに飛ばせば、実際のテーマやフォントが適用された 「本物の表示」 がBlogger上で確認できます。気に入らなければローカルで修正して、またAPIで飛ばすだけ(上書き更新にも対応)。これが最も合理的です。
titles.yaml による一括管理
リポジトリ内の articles/blogger/titles.yaml に、記事パスとBloggerのPostIDを紐付けて管理しています。こうして機械的に紐付けることで、タイトルを変更してもディレクトリ構造とオンラインの記事がズレることなく、常に最新の状態を同期できます。
実行手順
コマンド一つで、思考がオンラインへ同期されます。
# MarkdownをHTMLに変換
uv run python articles/blogger/00B/lab/publish/md_to_html.py articles/blogger/00B/articles/2512/00002/article.md
# Bloggerに下書きとして同期(タイトルを見て自動で新規作成/上書きを判断)
uv run python articles/blogger/00B/lab/publish/blogger_post_draft.py post-draft articles/blogger/00B/articles/2512/00002/article.html
まとめ
これまでの「ブログを書く」という行為は、サイトにログインし、エディタをいじるという「作業」でした。APIによるパイプライン化は、これを 「思考を同期する」 という行為に変えてくれます。この最強の基盤の上に、自律型エージェントとの共同執筆環境を積み上げていきます。
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